先日会社で、新入社員向けに従業員持株会の会員募集のお知らせがありました。
私もかれこれ数年間、従業員持株会の制度を利用しています。
まだ株式投資をしたこともなかった時、持株会に入っている先輩から結構利益が出せているという話を聞いたので興味を持ったことがキッカケです。
今回は従業員持株会制度を利用した現在の運用成績、持株会のメリットとデメリットについて自分の体験からまとめてみました。

持株会は福利厚生のひとつだけど、良いことばかりじゃない
従業員持株会制度とは
一般的に、従業員持株会制度は会社の福利厚生制度の1つとして位置付けられています。
持株会制度はほとんどの上場企業で導入されていますが未公開企業の中でも多く導入されています。
持株会制度を推奨してくる会社が多いのは、導入することによって従業員は少額の資金で投資ができ、会社は自社の社員という安定した株主を獲得することができ双方にメリットがあるからです。
持株会制度の仕組み

持株会制度に加入すると、毎月自分が設定した金額が給料から天引きされ、その金額分で自分の会社の株を買うことができます。
毎月コツコツ株式を購入していって、売買単位株数以上に株数が到達したら手続きを経て個人の証券口座に引き出し、売却して現金化することができます。
売買単位株数(単元株数)とは、株を売買するときの最低株数のこと。
売買単位は企業によって異なりますが、日本株の多くは100株単位での取引が一般的。
売買単位株数は証券会社の個別銘柄ページなどで確認できます。
持株会制度は損か得か?
現在私は持株会を通して自分の会社の株を70株ほど保有しています。
株式の平均獲得金額と現在の株価(4月5日時点)を比較してみると、単純計算で14万円の含み益となっています。
しかも、私の会社では毎回10%の奨励金が出るので、それも含めると利益は16万円以上になります。
その数字だけ見れば持株会制度はとてもお得な制度のように思えますが、実際に制度を利用してみるとメリットもデメリットも発生するものなので、現状だけで損か得かを判断することはできません。
持株会のメリット
・奨励金が支給される
・少額から手軽に投資を始められる
・自動で積み立てし資産形成できる
・会社の経営状況などの情報が収集しやすい
奨励金の支給
私の会社では従業員持株会の制度をより多くの社員に利用してもらうために、会社が10%の奨励金を出してくれます。
たとえば、毎月1万円を給料から天引きで持株会の資金にあてたとして、10%分の1,000円が奨励金として給料にプラスで振り込まれ、持株会の購入資金として天引きされます。
つまり、自分の給料としては10,000円分しか持株会資金に使われていないにも関わらず毎月11,000円分の株を購入することができるわけです。
株価の変動を考えなければ、持株会をしているだけで毎月1,000円×12ヶ月で年間12,000円も得をすることになります。
奨励金の額は企業によっても異なりますが、持株会をすることの最大のメリットといっても過言ではありません。
少額から投資を始められる
株式投資は売買単位株数での取引が一般的なので、多くは100株からの取引になります。
そのため、投資をはじめるにはある程度まとまったお金が必要になりますが持株会は1口1,000円から投資できるので、気軽にはじめることができます。
自動で積み立てし資産形成できる
持株会では自分で決めた金額分が毎月の給料から天引きされる形で投資の資金になります。
そのため、お金を下ろしたり入金したりという手間がかからずほったらかしにしておいても勝手に株の買い付けが行われていくので、煩わしさがありません。
会社の情報収集がしやすい
毎日仕事をしていると仕事が多く賑わっているのか、仕事が減って少しずつ寂しい状況になっているのか、少なくとも全く知らない会社のことよりは自分の会社の状態を肌で感じる場面も多いでしょう。
自分の会社の経営状況が上向きなのか横ばいなのか、はたまた落ち込んでいるのか把握しておいて損はありません。
持株会のデメリット

・毎月の手取り金額が減る
・注文のタイミングを自分で決められない
・会社の経営状況が悪くなった時、ダブルショック
・配当金、株主優待券がもらえない場合がある
・株を売って現金化するまでに時間がかかる
手取り金額が減る
持株会に加入し毎月株の購入に一定金額をあてることになるので、当たり前ですがその分手取りの収入は減ります。
今月はお金が苦しいという時でも持株会による買い付けは一時的にストップしたりすることができない場合が多いので、ある程度収入と支出のバランスを考えて制度を利用する必要があります。
注文のタイミングを自分で決められない
株の売買で利益を出すには安い時に買って、高い時に売ることです。
持株会での株の購入は毎月一定金額分を購入していくというドルコスト平均法が用いられています。
ドルコスト平均法とは一定の金額で同じ金融商品を時間を分散させて定期的に買い付ける方法。
株価が高い時には少なく、株価が低い時には多くの株を購入でき、購入する期間を中長期的にすることで時間分散によるリスクの軽減が期待できます。
ドルコスト平均法は大きな失敗にはなりにくいものの、大きな利益を生み出す方法ではないので、もっと上手に買い付ければ利益を増やせたのにと思う場面もありました。
購入のタイミングを考えなくても勝手に買い付けられていくのは株価の変動のことを気にしなくて良いので煩わしさがないメリットもありますが、株価が高い時にも購入されてしまうというデメリットもあります。
会社の状況が悪くなった時、ダブルショック
会社の経営状況が悪化すると、従業員の給料も下がる可能性があります。
会社の業績は株価に大きく影響してくるので、業績が悪くなった場合は株価も下がる場合が多いです。
投資を勉強し始めたころに読んだ本で『卵はひとつのカゴに盛るな』という格言が紹介されていました。
1つの商品にだけ集中して投資をするのではなく、リスクを分散させるために複数の商品に投資をする方が良いという教えなのですが、とてもわかりやすくて印象に残っている言葉です。
会社から給料をもらい、その会社の株を購入しているということは、まさしく卵をひとつのカゴに盛っている状態です。
会社の経営が悪化すれば自分の給料にも影響し、積み重ねてきた会社の株でも大きく損をしてしまう可能性があります。
配当金・株主優待が受けられない場合がある
配当金や株主優待は証券会社の個人口座に株を移管させなければ受けられないことが多いです。
持株会の場合、証券会社の個人口座に株を移すには100株など最低売買単位以上にまとまった株数を保有しているうえで手続きをし、会社から承認を得るというステップを踏まなければなりません。
最低売買単位以上に株を持っていても、個人口座に移す手続きまで完了していなければせっかくの配当金や株主優待という恩恵を得られません。
株を売却して現金化するまでに時間がかかる
最低売買単位以上に株数がまとまったら、個人口座に移す手続きをしてようやく株の売却ができるようになります。
株を個人口座に移す手続きはそれなりに時間がかかる場合が多く、売却しようと思い立ってから実際に売却できるまでにうちの会社では早くても2週間ほどの時間がかかりました。
現金化するのにいくつかのステップを踏まなければならず、面倒な点と売却できるまでに時間がかかるため早めに損切りしたいと思っても思うような結果にならない場合が想定されます。
まとめ
従業員持株会制度は福利厚生のひとつですが、従業員にとってメリットだけというものではありません。
持株会制度を利用して損になるか得をするのかは会社の状況にもよって違いが出てくるので一概には言えません。
私はNISAや確定拠出年金をしっかり利用し、他の企業への投資を優先。
『卵は1つのカゴに盛らない』を実践すべく、少し節約を頑張って余った金額の分を毎月の持株会金額としています。
コメント