わが家は夫婦ともに奨学金を借りて社会人になりました。
私は奨学金を繰り上げて完済、一方夫は現在もコツコツと返済を続けています。
奨学金は一見すると早々に返済した方が利子の分だけ支払いが少なくなりメリットが多くなると思いがちですが、状況によっては繰り上げずにコツコツ返済する方が良い場合もあります。
・低金利、無利子で借りた奨学金の繰り上げ返済は無駄?
・繰り上げ返済にはどんなデメリットがある?
・繰り上げ返済すべきか迷っている
今回の記事がそんな疑問を持った方の参考になれば幸いです。

奨学金は早く返せばその分お得だと思っていたけど…

繰り上げ返済に全力投球してしまうとデメリットも出てくるよね
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繰り上げ返済のデメリット

手持ちのお金が減る
繰り上げ返済をした分、自由に動かせるお金が減ることになります。
車や家の購入、結婚費用など大きな出費を控えている場合はまとまったお金が必要になるため、お金をどう動かすか慎重に検討しなければなりません。
奨学金の利子は0.01%〜3%と決められており、他のローンと比べるととても低く設定されています。
利子3%と聞くと他のローンの利率と変わらないような気もしますが、実際の奨学金の利率はこんなに高くありません。
日本学生支援機構が公表している最近(2022年2月現在)の貸与利率を見ると高くても約0.27%、低いものでは0.002%。
金利が比較的高く設定されていた10年以上前でも1.5%程度。そこからどんどん利率は下がっており、今はほぼ最低水準です。
100万円を借りて20年間で返済するときのトータル返済額
・利率3%→133万円
・利率0.3%→103万円
現状では利率が低いため100万円を20年間で返済するとして大目に見ても3万円程度の利子しか発生しません。
利子分の返済額を少なくできるという繰り上げ返済のメリットは薄いため、大きな出費が予測されている場合はなるべくローンを組まずに支払いができるよう貯蓄に回しておくのがベストです。
お金を効率的に増やしにくくなる
奨学金を100万円分返済するのと、投資信託等に100万円分投資して資産運用にあてた場合ではどちらの方がお得でしょうか。
奨学金を100万円分返済しても、現状では利子分の支払いが多少減る程度。
しかし、同じ100万円を堅実な手段で運用すれば特別な知識や能力がなくてもお金を効率的に増やすことができます。
100万円を年間3%で運用した場合の合計額
・10年間→約135万円
・20年間→約182万円
ただしこの方法は手間がほとんどかからない分、お金が増えていくのに時間をかける必要があります。
低い利率の奨学金を繰り上げ返済するより早めに資産運用を始めることで時間を味方につけ、効率的にお金を増やす方が大きなメリットがあります。
返済したお金は戻ってこない
奨学金の返済よりも優先すべきことは、生活防衛費を確保すること。
収入が減って生活に困るようになっても一度返済したお金は返してもらえません。
予期せぬ事故や病気、減収や失業など万が一のことが起こる可能性もあります。
奨学金の返済を頑張り過ぎて貯金がほとんどできていない…という状況は緊急時にあまりにも不安です。
ある程度の貯金があれば大抵のことに対応できるので、まずは必要最低限のお金を貯めていくことから始めましょう。
繰り上げ返済したほうが良いケースは?

色々と繰り上げ返済のデメリットを挙げてきましたが、奨学金を借りている事情や将来的なライフプランは様々です。
卒業後の収入や生活環境も個々で違うため絶対に正解だと言い切れる選択肢はありませんが、今まで私が見てきた一般的なケースをいくつかご紹介します。
お金に余裕がある
きちんと貯蓄や資産運用もできていて、今後予定している大きな出費にも対応できるような状況であれば思い切って繰り上げ返済を考えても良いかもしれません。
月々の奨学金の返済がなくなると固定費が下がるので、家計がスッキリ楽になるのも事実です。
年に一度、その年で余剰になった分のお金を繰り上げ返済にあてれば無理なく計画的に返済期間を短くできます。
今後の見通しが不安
私が奨学金を繰り上げ返済した理由はこのパターンでした。
夫が転勤するタイミングで結婚。
職場も変わり、出産や子育てなどの将来的なイベントを考えた時にいつまで自分が仕事を続けられるのか予測できないことが多く不安になりました。
毎月5万円近い金額の返済を夫ひとりに背負わせてしまうことになる申し訳なさもあり、夫にも奨学金があったため一馬力では家計が苦しくなるのも目に見えていました。
もし何らかの事情で仕事を辞めることになっても黒字の家計を維持できれば不安はかなり解消できるはず。
そこで私は結婚し夫と家計を同じにするタイミングで独身時代の貯蓄から奨学金を完済し、今に至ります。
出産などの手当が振り込まれるまでは時間がかかるため、もし奨学金の返済がいまだに残っていたら手当が入ってくるまで家計はほとんど赤字になっていました。
現在育休中ですが、結果的にこの判断は正解でした。
二馬力の時よりも収入は減りましたが、毎月少しでもお金を貯められているという安心感の中でのんびりと子育てを楽しむことができています。
家族(パートナー)と奨学金のことで揉める
奨学金に対するイメージは人それぞれです。
その中には奨学金は借金だと考える人もいます。
私の両親はどちらも代々の自営業者だったので、一般的な会社員家庭と比べると借金をする(銀行などから事業資金の名目で融資を受ける)ことに抵抗がありませんでした。
景気が良い時は問題ないのですが不況になり収入が減ると、月々の返済に頭を悩ませ喧嘩が絶えず家の中もどんよりと重い空気になったのを今でも覚えています。
お金がないと常に不安が付きまとい、心に余裕もなくなります。
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以前記事にしたこともありますが、家庭内で争いの種になりそうなら繰上げ返済によって根本的な解決を目指すという選択も目には見えない大きなメリットになり得ます。
まとめ
・現在の奨学金はほぼ最低水準の金利(約0.3%以下)なので、ずっと借りていても利子はわずか
・大きな出費が控えている場合は繰上げ返済に回さずしっかり貯金しておく
・繰上げ返済を頑張るより早めに資産運用を始める方が将来的にお金を効果的に増やせる
・優先すべきは生活防衛費の貯蓄>資産運用>繰上げ返済(余ったお金を繰上げ返済に充てる)
・繰上げ返済は金銭的なメリットよりも精神的なメリットが大きい
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